レーヴはデュークのことをなんだと思っているのだろう。

 獣人だから、自分とは違う生き物になら、何をしても良いと思っている?

 そんなはずはないと知っているのに、一度折られた恋心は容易に彼女を受け入れることができない。

 それでも、レーヴが悲しそうな顔をすると心は悲鳴を上げてますます痛んだ。
 嫌われても良い、とにかく彼女を慰めたい、と心が訴えてくる。
 踏みにじられてもレーヴへの気持ちは潰えることがなくて、魔獣の恋の一途さに自嘲したくなった。

 デュークは、絶対にレーヴと目を合わせまい、と思った。
 表情は隠せても、視線に宿る気持ちまで隠す術は持っていない。彼女を見れば、「好きだ」「愛している」という気持ちが勝手に溢れ出して、視線を介して押し付けてしまうのは明白である。
 何よりデュークが恐れるのは、魔獣の恋の、いくつかある結末の一つだった。