デュークは、レーヴの態度に困惑していた。
 エカチェリーナ曰く、レーヴはデュークに対して好意を抱いていないはずだ。
 そしてアーニャからも、彼女がジョージのことで悩んでいると聞いている。

 だからデュークは、レーヴはもう自分のものになることはないと思って、最期の時を待っていたのだ。

 せめて引き際くらいはかっこよく、彼女に迷惑をかけることなくひっそりと消えるつもりだった。
 マリーはレーヴの責任だと言っていたが、そんな責任を負う必要など、彼女にはない。だってデュークが一方的に好きになっただけなのだから。

 それなのになぜ、レーヴはここに来て、嬉しそうに抱きついてくるのだろう。
 デュークは訳がわからなかった。