「……デュークのこと、どうにかできますの?」

「その様子から察するに、デュークはまだ消滅していないのだろう? つまり、消滅寸前ということだ。デュークはおそらく、恋した相手から直接拒否されていないせいで、踏ん切りがついていない。端的に言えば、未練たらたらの状態なのだ。それならまだ、方法がある」

「まだ、望みがある……?」

 わずかに見えた光明に、マリーはデュークがいるであろう部屋を見上げた。

「栗毛の牝馬は、まもなくここへ来るだろう」

「あなたが呼んだのですか?」

「いや、違う。ディンビエが魔獣殲滅のために魔の森を焼き払おうとしていることは知っているだろう? その計画を止めるため、早馬部隊に所属する栗毛の牝馬には、ある書状を届ける任務が与えられた。隣国へ向かう最短ルートを通るには、獣人の協力が必要不可欠。つまり、栗毛の牝馬以外できる者はいないということだ」