レーヴがそんな風に思うということは、青年の本性は彼女になじみがある動物なのだろう。早馬部隊に支給されている動物を思い浮かべながら、レーヴは悩む。

(初対面であなたはなんの獣人なんですかって聞くのは失礼かしら?)

 人だって、初対面であれこれ聞かれたら良い印象は持たないだろう。
 そこで不意に、レーヴは気づいてしまった。
 少なくとも彼女は、目の前にいる青年に悪い印象を持ってもらいたくないと思うくらいには、彼のことを気にしているらしい。

(いやいや。誰だって、初対面から嫌われたくはないでしょう。きっと、そういう意味よ、うん)

 そもそも、まだ紹介すらされていないのだ。
 無遠慮に見つめてしまったことが今更ながらに恥ずかしくなってきて、レーヴはお尻をもぞもぞさせた。

 レーヴのお尻を一瞥して、青年が頭を掻く。
 その仕草は馬が前掻きをしているように見えて、レーヴはますます彼の正体が気になった。