マリーは、ようやく納得した。聞き覚えのある声の主は、ロディオンだったのだ。彼は、かつて研究者だった祖母が保護し、人族との恋を応援した魔鴉の獣人だった。

「ああ、確かに言ったとも。だが、こういう意味ではなかった!」

 ギャンギャンと親子喧嘩をする二人に、マリーの剣呑な視線が突き刺さる。
 それでも黙らない愚かな親子に、マリーは絶対零度の声で告げた。

「お黙りなさい。あなたたちのけんかなど、どうでもよろしい!」

 人から発せられたとは思えない声に、ラウム親子は耳を押さえてその場へ崩れ落ちた。