魔獣保護団体が有するこの古城は、魔の森の近くにある。もともとは、ロスティ側に出現する魔獣の監視及び殲滅を目的として置かれた場所なのだ。マリーの祖母が魔獣の性質を暴いてからは、保護団体施設として機能してきた。

 もしも魔の森が焼き払われたら、ここが一番被害を受けるだろう。近隣の村を魔獣が襲わないよう速やかに保護し、万が一城を失った場合は移送ができるように、その手伝いとして男たちはここにいる。
 とはいえ、現段階では様子見をすることしかやることがない。暇を持て余した男たちはウォーレンの指示のもと、草むしりに精を出していた。

「ありがたいわねぇ」

 ここの職員のほとんどは魔獣のことで手一杯で、中庭の雑草を気にかける余裕もない。
 さらに今は多数の魔獣が死傷するかもしれないという不安から、皆ピリピリと神経を尖らせていた。