「なんというか……栗毛の牝馬の髪みたいな色をした薔薇だな」

「薔薇の花言葉は愛……一人ぼっちで最期を迎えることが愛だと言いたいの?」

 ──びたん。

「そうなの……それがあなたの愛なのね……でも、寂しくはないの? 最期にもう一回くらいレーヴさんに会いたいって思わない?」

 蔦は言うべきことは言ったとばかりにピクリとも動かない。

「レーヴさんは何をしているのかしら。こんなにいちずな獣人さんを一人ぼっちで逝かせるなんて、無責任ではありませんか!」

 プリプリと怒るマリーの声はうるさい。
 蔦は「静かに逝かせてくれ」と逃げるように扉をしめた。