受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 ──びたん。

 興味津々に見つめる二人の前で、蔦は壁を叩く。一回。つまりイエスだ。

「マリー。そういうわけだから、チョン切るのはなしだ」

 ポケットからハサミと保存袋を取り出そうとしていたマリーの手を、ウォーレンが押し留める。
 残念そうにポケットから手を出したマリーは、それなら、と蔦を見つめた。

「私も質問させてもらうわ。そうねぇ……あなたが引きこもっているのは、レーヴさんに会いたくないからなの?」

 ──びたん。

「まぁ……けんかでもしたの?」

 ──びたん、びたん。