受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 蔦は、ふやんふよんと動いている。
 言われてみれば、不自然なような気がしないでもない。
 おもむろに手袋を付けはじめたマリーにウォーレンは「おい」と制止するような声をかけたが、彼女は迷わず蔦に触れてみた。

「あら!」

 マリーが驚きの声を上げる。

 彼女が触れると、蔦はニョッと起き上がり、まるで「触るな」とでも言うように鬱陶しそうに手を叩いてきた。
 不機嫌そうな蔦と違って、マリーは大喜びだ。研究対象をロックオンした目が、キラキラと大きく見開かれる。

 こうなると、マリーは誰にも止められない。ウォーレンでさえ、その頭の隅に追いやられてしまうのだ。