受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 マリーは白衣のポケットからノートとペンを取り出すと、サラサラと流麗な字を書き出した。

 彼女はいつもポワンとしていてかわいらしいが、研究員の顔をしている時はキリッとしていて美しい。切り替えの早さに少々呆れながら、ウォーレンは彼女を見守ることにした。

「デュークの魔力は木属性……木を生やすことは容易い……もしや、獣人の最期は属性のよって変わる……? おばあさまの研究ではそのほとんどが……いえ、たまたま火属性だったということでは……? となると、あの蔦はただの蔦ではなく、デュークの一部と考えるべきなのかしら。うぅん……」

 ブツブツと呟きながら思考の海へ船を漕ぎ出していったマリーの隣で、ウォーレンは蔦から目を離せないでいた。

 扉の隙間からニョキニョキと生えているそれが、何かを探すようにウロウロしているように見えてならない。