王都とはいっても、中央部から遠ざかった下町と呼ばれる地域になると華美さはない。地方の都市となんら変わりないだろう。

 レーヴは、下町の小さな家に一人で住んでいる。
 青と緑が交互に連なる、魚のうろこのような瓦が印象的な家だ。白い壁についている木製のドアは、こんがり焼いた山型食パンのように見えて、レーヴのお気に入りである。

 小さい家だが、ベッドルームとリビングダイニング、キッチンに水回りと最低限はそろっている。
 ダイニングに置かれたテーブルが部屋の広さに対してやけに大きいのは、レーヴがパンを作る際に作業台として利用するためだ。

(そう。決して、こんな人数を、受け入れるためじゃ、ない!)

 脚立に腰掛け、スープカップに入れたお茶をすすりながら、レーヴは不機嫌に招かれざる客たちを見遣った。
 レーヴが脚立に座っているのは、許容範囲を超えた人数の客が来たせい。レーヴのお茶をスープカップに入れることになったのも、客の人数が多いせいである。