「かわいい顔していけずなんだから。分かったわよぅ、帰りますぅ」

 筋肉隆々の男が、すっくと立ち上がる。言葉遣いやしぐさに女性らしさが滲むが、まとう雰囲気は鍛え抜かれた男性軍人といった風だ。
 そんな補佐官のお尻を叩きながら、秘書官は追い立てるように歩かせる。

「ええ、そうしましょう。あなたのかわいいお仕事さんが待っていますよ」

「うふ。そうね、かわいいお仕事さんが、アタシを待っているのよね?」

 どこか含みのあるせりふを言いながら、補佐官は「じゃあ頼んだわよ」とレーヴの横を通り過ぎる。補佐官の激励にレーヴは凛とした声で「はい!」と答えた。