「失礼いたします!」

 どうぞと言われて、レーヴは扉を開く。
 その途端、見慣れた部屋とは思えない圧迫感を感じて、レーヴはヒュッと息を飲んだ。

 圧迫感は、部屋の一番奥にある席に座る男性から発せられている。
 威圧感で呼吸が浅くなる。
 猫に睨まれたねずみはこんな気持ちだろうか。レーヴは逃げ出したくなる気持ちをなんとか堪えて入室した。

 末席ながら、レーヴとて軍人である。今にも顔に出そうな動揺を押し殺しながら、彼女は出頭する罪人のような気持ちで男性の前へ立った。

「レーヴ・グリペンでございます。遅れて、大変申し訳ございません!」

 そう言って、レーヴは深々と頭を下げた。
 断頭台に頭を乗せているような気分だ。いつ首を落とされるのだろうと、レーヴはドキドキした。