レーヴが早馬部隊王都支部へ着いた時、支部はいつになく騒がしい様子だった。
 郵便局の周辺は人でごった返し、大勢の人がヒソヒソとささやきながら遠巻きに見ている。

 明らかにおかしい状況に、レーヴは思わず引き下がりたくなった。
 けれど、ジョージの犠牲を思い出せば、そうも言っていられないと覚悟を決める。

 足早に入った郵便局の中は、外から見た以上に慌ただしい様子だった。
 とりわけ応接室からは異様なオーラが流れ出ているような気がして、レーヴは飛び上がる。

 そんな中、給湯室にいたらしいアーニャがすごい勢いで駆け寄ってきた。勢いのままガシリと肩を掴んだアーニャは、血走った目でレーヴを見ながら「どこへ行っていたの!」と叱った。

「迷惑かけちゃって、ごめんなさい」

「とにかく、無事で良かったわ。ジョシュアはぎっくり腰で動けないし、あなたは連絡もなしに来なくなるし、それに……」

 アーニャの視線が応接室へ向けられる。
 扉の向こうからでも感じる物騒な雰囲気に、レーヴはブルリと体を震わせた。