自分自身に置き換えて考えてみても、納得がいかない。

 エカチェリーナはジョージが好きなのに、ジョージとレーヴを婚約させようとしている。
 レーヴはデュークが他の女に奪われることを想像し、頭が沸騰するほど腹がたつだろうな、と思った。

 思わず険しくなった顔に、彼女は手を伸ばす。シワのよった眉間を揉み解し、「うー」とうなる。
 こんなことが癖になるくらい、ここにいる。レーヴはいつになったらここから出られるのだろうと、苛立たしげに天蓋を支える支柱を蹴り付けた。

「せっかく気づいたのに!」

 デュークへの恋心に気づいた矢先、拉致監禁。
 こうしている間にもしデュークが消滅してしまっていたら?

 考えるだけでも恐ろしい。
 消滅という言葉を口にしたら現実になってしまいそうで、レーヴは言葉を飲み込んだ。