「この部屋って、アレよね」

 調度品は、天蓋つきの大きなベッドとテーブルセットだけ。しかも、かなり上等な品だと思う。
 高級家具があって、窓がない部屋。プライバシーを守ることに特化したこの部屋は、大人の事情で使う部屋に違いない。秘密の会談とか、秘密の逢瀬とか、レーヴにとっては縁遠い理由で、だ。

「こんな場所、一生使わないと思っていたわ」

 拉致監禁するにしても、粗末な廃屋とかではなくこんな場所を選ぶあたり、エカチェリーナの育ちの良さを感じる。
 レーヴだったら、こんな待遇をしてやらない。好きな男を奪う女に、優しくする義理はないのだ。

「やっぱり、エカチェリーナはおかしい」