受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 アーリャの言葉を精査するように、ジョージはしばし考える。次第に、事の緊急性を悟ったかのように苦虫を噛みつぶしたような顔になっていった。

「以前にも同じことがありましたね」

「それはいつだったのかな?」

「軍事パレードの時です」

 レーヴが栗毛の牝馬と呼ばれるようになった一件の前後、いつも何くれとなく理由をつけてジョージのそばにいた彼女が、席を外すことが増えていた。

 独自に調べてみたら、彼女はレーヴを貶めるためにいろいろ工作していたらしい。
 仲の良いジョージが、不釣り合いな幼なじみを構っていることが気に入らなかったのだろう。彼女は良家のお嬢様であるからして、そういうことには人一倍敏感なのだ。
 結果としてレーヴは二つ名を得たので良かったものの、「今後もジョージと友人でいたいならレーヴには決して近づかないこと」ということで手を打った。