受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 戦争。出陣。栗毛の牝馬。
 ジョージはわかりやすく取り乱した。ガタガタと音を立てて立ち上がるなんて、優雅な黄薔薇の騎士には似合わない。

 そのまま退室の礼もせずに執務室を後にしようとしているジョージを、アーリャは呼び止めた。
 それどころではないと苛立たしげに眉を上げるジョージに、彼は「まぁまぁ」と温和な笑みを浮かべる。

「邪魔をしたいわけじゃない。これ以上君が駄目軍人になっていくのは目に余るからね。そろそろまともになってもらわないと困る。私が言いたいのはだね、最近のリーナのことさ」

「エカチェリーナがなんだと言うのです。今は関係ないでしょう」

「君は栗毛の牝馬が絡むと本当に……まぁいい。それで、リーナだけれど。彼女はいつも君にべったりだったのに、ここ最近は離れてばかり。それって、何かあると思わないか?」

「なにか……?」