「栗毛の牝馬は、早馬部隊だったか?」
「ええ、そうですけど」
「なぁ、ジョージ。今、魔の森が大変だという話は知っているか?」
「なんです、それは」
突っ伏していた机から顔を上げたジョージは、まだ少し情けない雰囲気は残っていたものの、騎士らしい精悍さが滲んでいた。
アーリャは机の上へ肘をつき、組んだ手の甲へ顎を乗せると、瞳に剣呑な光を宿して言った。
「王族外出禁止令が出ただろう? あれは、隣国のディンビエが魔の森を焼き払うと騒いでいるからなのだそうだ」
「うそでしょう?」
「うそなものか。このままいけば再び戦争になるかもしれない。ロスティは魔の森を大事にしているからね。もっとも、わが国の軍事力を鑑みれば、一方的な戦いになるだろうが。もし戦争ともなれば、早馬部隊は出陣することになる。早馬部隊に所属する二つ名持ちは、現在二人だけ。片方は入院中ともなれば、わかるだろう?」
「ええ、そうですけど」
「なぁ、ジョージ。今、魔の森が大変だという話は知っているか?」
「なんです、それは」
突っ伏していた机から顔を上げたジョージは、まだ少し情けない雰囲気は残っていたものの、騎士らしい精悍さが滲んでいた。
アーリャは机の上へ肘をつき、組んだ手の甲へ顎を乗せると、瞳に剣呑な光を宿して言った。
「王族外出禁止令が出ただろう? あれは、隣国のディンビエが魔の森を焼き払うと騒いでいるからなのだそうだ」
「うそでしょう?」
「うそなものか。このままいけば再び戦争になるかもしれない。ロスティは魔の森を大事にしているからね。もっとも、わが国の軍事力を鑑みれば、一方的な戦いになるだろうが。もし戦争ともなれば、早馬部隊は出陣することになる。早馬部隊に所属する二つ名持ちは、現在二人だけ。片方は入院中ともなれば、わかるだろう?」



