受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 デュークの出現は、寝耳に水だった。
 獣人という何もかもが規格外の男に、ジョージは完膚なきまでに叩きのめされた。見た目も、性格も、力でさえも。

 あの日、公園で彼らを見た時にはもう、覚悟をしていた。
 それでも、祖父に頼まれ試合に挑んだのは、チャンスだと思ったからだ。

 ロスティは力がものを言う。獣人に勝ってみせたらレーヴが手に入るのではないかと、愚かにも思ってしまった。
 結果として、ジョージは幼なじみとしての立場も失おうとしている。会うことも、謝ることもできない自分が情けなくて仕方がない。

「俺は出来損ないの軍人だ……」

 もう何度聞いたかわからないせりふに、アーリャは「飽きないねぇ」とつまらなそうに言い捨てた。