「一体どうしたんだい?」

「放っておいてください。今は休憩時間なんです」

「休憩なら、なにも私の執務室でしなくても良いのでは?」

「誰にも見られたくないんだ」

「なるほど?」

 王子と近衛騎士。世間的には気安く話すような間柄ではないが、それでも二人はこうして友人同士のように会話をする。
 アーリャとジョージは、先輩後輩の間柄なのだ。
 彼は王族としては珍しく、訓練学校を卒業している。訓練学校でお世話になった先輩であるジョージに畏まられるのが気持ち悪いと、二人きり、もしくはエカチェリーナを交えた三人の時は、友人のように接するように頼んでいた。