「こんにちは、デュークくん」

 時間を置かずにやって来たアーニャは、穏やかな笑みを浮かべて応接室に入って来た。
 どこかくたびれた様子の彼女に、デュークはおやと眉を上げる。

「お待たせしてしまったかしら?」

「いえ、大丈夫です」

「ごめんなさいね。今、ちょっと人手不足でバタバタしていて」

 そう言うアーニャの後ろで、忙しそうに数人が走って行った。

「忙しい時に申し訳ない」

「いいえ、気にしないで」

 デュークの向かいへ腰掛けたアーニャは、お茶を一口飲んで深々とため息を吐いた。
 彼女はデュークの目から見てもわかるくらい、疲れている様子だった。目の下には隠しきれないくまがうっすらと浮かんでいる。