「そう、か……」

 何より、目の前の女性は元獣人の娘である。獣人の恋について十分知っているであろう彼女が言うことだから、信憑性が増す。

 デュークはガクリと肩を落とした。その途端、彼の落胆に共鳴するように周辺の草花が一斉に枯れていく。
 瞬く間に枯れていった草花に気付いたエカチェリーナは恐怖を覚えて息を飲んだが、取り繕うように慌てて深刻そうな表情を浮かべた。

「デューク様……これから、どうなさいますの?」

「レーヴがジョージくんを好いているなら、僕は身を引くだけだ。これ以上つきまとっても彼女につらい思いをさせるだけだろうから、世話になっている魔獣保護団体で最期を迎えるつもりだ」

「まぁ……」

 気の毒そうなエカチェリーナの視線を振り払うように、デュークは踵を返した。