「レーヴが……?」
「ええ。かわいそうに、とても困っていました。当然ですわ、ジョージ様を選べば、デューク様は消滅してしまうのですもの」
かわいそう、とエカチェリーナはハンカチで目を拭った。
その目はちっとも潤んでなんかいなかったが、デュークはショックでそれどころではない。
胸の内に「どうして」「なぜ」とレーヴを疑うような言葉が浮かび、デュークは唇を噛んだ。
レーヴは優しい。見た目ばかりで足が遅い【青毛の駑馬】と呼ばれて馬鹿にされていたデュークを「かっこいい」と言って、緊急事態だったというのに彼を信じて乗ってくれた。
あの時の高揚感を、デュークは一生忘れない。魔力の波長がぴったりと寄り添い、彼女が乗ると、デュークの脚はとめどなく溢れ出る力でグングン走ることができた。
そんな彼女だから、デュークに敗れたジョージを好きになることも十分有り得た。彼女は、弱者に優しい人だから。
「ええ。かわいそうに、とても困っていました。当然ですわ、ジョージ様を選べば、デューク様は消滅してしまうのですもの」
かわいそう、とエカチェリーナはハンカチで目を拭った。
その目はちっとも潤んでなんかいなかったが、デュークはショックでそれどころではない。
胸の内に「どうして」「なぜ」とレーヴを疑うような言葉が浮かび、デュークは唇を噛んだ。
レーヴは優しい。見た目ばかりで足が遅い【青毛の駑馬】と呼ばれて馬鹿にされていたデュークを「かっこいい」と言って、緊急事態だったというのに彼を信じて乗ってくれた。
あの時の高揚感を、デュークは一生忘れない。魔力の波長がぴったりと寄り添い、彼女が乗ると、デュークの脚はとめどなく溢れ出る力でグングン走ることができた。
そんな彼女だから、デュークに敗れたジョージを好きになることも十分有り得た。彼女は、弱者に優しい人だから。