受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「強靭な肉体と人間離れした力を持つ彼らは貴重なので、魔獣保護団体が保護し、恋を成就させるようにと国から依頼されているのです」

「なるほど」

 生返事のような声しか返さないレーヴに、マリーは内心焦っていた。
 今回、マリーがレーヴを呼びつけたのは重要な任務があるからだ。
 力説しすぎて乾いた喉をお茶で潤し、マリーは「それでね」と切り出す。

「獣人になった子がいますの」

 マリーの言葉に、レーヴはきょとんとした顔で見返した。
 その顔には、「だからなに?」と書いてあるようである。

 マリーは上官らしい厳しい表情を顔に貼り付け、レーヴを見た。
 そのまま彼女を指差しながら、マリーは口を開く。