ここ数日足止めされていた国からの重要な依頼──持っている能力がどの程度国にとって有用なのかを確かめる実験──がようやく片付き、デュークは意気揚々とレーヴに会うために王都の道を歩いていた。
 彼の頭の中はレーヴのことでいっぱいだ。「もう彼女は立ち直ったかな」とか「まだ怖がっているだろうか」とか「久しぶりだから思いきり甘やかしたいし甘えたい」なんて思いながら、しまりのない顔でほにゃりと微笑む。

「ああ、早く会いたい」

 間もなく昼休みの時間だ。
 短いデートをお預けにされてしばらくたつが、レーヴは今日も中央公園にいるはず。

 そう思ったデュークは、一番近道である大通りから外れて脇道へ入った。

 彼が脇道を選ぶのは、獣人の特徴である耳や尾を不必要に見せないためだ。帽子や服で隠していても、聡い人は気づいてしまう。
 それに、彼を見るとほとんどの人がその類稀なる美貌に二度見をするせいで、デュークは落ち着かないのだ。