「仕方ありませんわね」

 澄ました顔でそう言ったエカチェリーナは、勝ち誇ったように笑うとレーヴに言った。

「あなたがいけないのよ?」

 ヒュッ、とレーヴの視界の端を黒い何かが横切る。
 確認する間もなく、レーヴは意識を失った。

「ジョージ様を選ばないから」

 倒れたレーヴの体を、エカチェリーナはしばらく忌々しそうに見下ろしていた。

 やがて人の気配に気付いた彼女は、レーヴの体をひょいと担ぎ上げ、重さなど感じない足取りでそそくさと立ち去った。