ジョージに熱烈な恋情を抱き、彼に気に入られているレーヴのことが気に食わなくて仕方がない。あらゆる手を尽くしていじめ抜かれた訓練学校時代は、ある意味──予想外の出来事に対し臨機応変に対処するという訓練だったと思えば──レーヴにとって有意義な時期でもあった。

(デュークが言っていたラウムって……つまり、この子の父親ってことでしょ?)

 なるほど、とレーヴは思った。

 エカチェリーナの嫉妬は、少しばかり逸脱している。獣人の恋愛観を考えれば、納得しかなかった。

(五年前の軍事パレードでされたあれこれは、忘れようがないもの。軍靴に大尻女って傷つけられたのも、トイレに閉じ込められたのも、パレード用の馬を野に放ったのも、全部エカチェリーナだったもんね。うわぁ……すっごく不本意で認めたくないけど、エカチェリーナのおかげで私とデュークは出会ったわけだから……いわば彼女はキューピッド的な存在ってこと?)

 レーヴは湧き上がる嫌悪感を隠そうともしないで、顔をしかめた。