受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

　☆

　デュークとの昼休みの短いデートはまだ再開されない。
　あの日、耐えきれず脱走したデュークには、まだまだやらなくてはいけないことがあるらしい。どうやらそれは国からの命令らしく、「それが終わるまではしばらくお預けです」とマリーから言われてしまったらしい。

（国は何を考えているのかしら。いつ消滅するかわからないデュークが最優先すべきは私のことなのに）

　思わず浮かんだ考えに、レーヴは真顔になった。
　まるで嫉妬しているみたいだと思い至って、恥ずかしさに机へ突っ伏す。

　午後の仕事はなかなか終わらなかった。事務仕事は苦手じゃないはずなのに、どうしても考え事をしてしまって手がおろそかになる。
　すべての仕事を終えて机から顔を上げた時、日はすっかり落ちて外は暗くなっていた。