午前の配達を終えて自身の机に戻ってきたレーヴは、どさりと椅子へ座り込んだ。
 疲れを見せる彼女に、アーニャが気遣わしげな視線を寄越してくる。

「アーニャ……?」

「レーヴ、ジョージが来ていたのだけれど……あなたはしばらく戻らないって言っておいたわ」

「……ありがとう」

 アーニャは、レーヴが心配で仕方がなかった。
 現場にいなかったアーニャは、あとから試合後の顛末を聞かされた。

 ジョージがしたことは、子ども同士のけんかとは次元が違う。レーヴが怒るのは当然のことだし、逃げたくなる気持ちも分からないでもない。
 かわいそうなくらい憔悴しきっている彼を見ると、少しくらい手を貸してやろうかと思うこともあった。