「優秀な軍人たれ、か……」

 幼い頃から、ことあるごとに聞かされてきた。

 レーヴは、栗毛の牝馬として、早馬部隊王都支部に属する者として、ちゃんとできているのだろうか?
 問いかけて、レーヴは「ちがう」と答えた。

 早馬部隊は戦いを主としていない。
 戦場を駆け抜け、いち早く伝令を届けるのが任務である。
 とはいえ、実際に戦となれば、早馬を射抜く矢が、阻む刃があるだろう。

「もしも今、任務を与えられたら……完遂できないでしょうね」

 だって腑抜け軍人だもの、とレーヴは自身を嘲笑うように乾いた笑みを浮かべた。

(ナイフが怖い。ジョージが怖い。デュークを人族にしてあげることもできない。できないことだらけの、駄目軍人ね)