受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「やっと顔を見せてくれたね」

 子どものような無垢な顔をして、デュークが笑う。「嬉しい」「愛しい」と迷いなく告げてくる表情に、レーヴはまたポロリと涙を零した。

「一人で泣かないで」

 ちゅ、と音を立てて涙を唇で拭ったデュークが、離れていく。
 温もりが離れていくことがどうしようもなく悲しくなって、レーヴはとっさに手を伸ばした。

 そんな彼女のしぐさにデュークはすぐに気付くと、

「おいで」

 と優しく声をかけて、レーヴを引き寄せた。

 抱き上げられ、膝の上に乗せられる。至近距離で向かい合うのはこれで二度目だ。恥ずかしさをごまかすように、レーヴはグス、と鼻を鳴らした。

 デュークの腕の中は、あたたかい。少し痛いくらいの抱擁は、それだけレーヴを求めてくれているようで、ひどく安心した。