受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 不意に、会話が途切れる。
 デュークは立ち上がると、レーヴを見下ろしてきた。

 ギシ、とベッドのスプリングが音を立てる。デュークが、ベッドの淵へ膝で乗り上げたのだ。

「レーヴ」

 ビク、とレーヴの体が跳ねる。

 宥めるようにデュークの唇がレーヴの顔を覆う手の甲に押し当てられた。やわらかな感触に、レーヴの口から「ひぅ」と息を飲むような声が漏れる。

「気軽なものか。こんなに、緊張しているのに」

 拗ねるような声音に、レーヴの好奇心が疼く。今、彼はどんな顔をしているの?と。
 その間にもデュークは小鳥が啄むように何度もレーヴの手に、腕に、キスを落としてくる。

 くすぐったさに思わず手をどかした風を装って見てみれば、嬉しそうに笑ったデュークがレーヴの目尻にたまっていた涙を親指で拭った。