受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「キスができるかどうか、は?」

 サイドチェストへカップを置いたデュークが、レーヴの上に影を落とす。
 薄暗い部屋の中で、レーヴはデュークの表情がよく見えなくなった。

「恋をしていなくてもできるじゃない」

「少なくとも僕はレーヴとしかしたくないよ」

「人族はけっこう薄情なのかもね」

 真剣な声音に、思わずおちゃらけたくなる。
 甘い雰囲気は苦手だ。どうすれば良いのかわからなくなる。

「レーヴも? 誰彼構わずする?」

 ごまかし、逃げようとしているレーヴを、デュークは逃すつもりがないようだった。

「したこと、ないもの。わからないわ」

「それなら、やってみる価値はある」

「気軽にしたくない」

「ふぅん」