受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 そばにいて、こんなにも心が穏やかになれる相手なんて、人生のうちでそう多くないはずだ。ましてや、初対面からレーヴが警戒しない相手なんて、かなり貴重である。

 そんな貴重な存在が、自分のせいで寿命を対価にして獣人になった。
 レーヴのせいで、デュークは消滅してしまうかもしれない。

「もしも叶うのなら、過去に戻ってデュークに言ってやりたい。私に恋をしないでって」

 レーヴは絶対に軍事パレードに遅刻しないし、デュークを探したりしない。
 だからデュークは魔の森で、生きていてほしい。

 そばにいなくても良い。
 ただ、デュークが生きていれば。

 ひどいことを言うレーヴに、デュークは困ったように笑う。

「じゃあ、僕に恋をしてください」