受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

「寂しくて死んでしまうなんて、ウサギみたいね」

「獣人だけれどね」

 軽口の応酬みたいな会話が、心地良い。

 デュークもわざとそうしているのだろう。おどけた声を出しているが、彼の目は痛ましそうにレーヴを見ている。

「難儀な生き物ね」

「そうだね。恋をしないと大人になれないし、大人になっても恋が成就しないと消滅してしまう。恋が成就しても、相手が死んだら寂しくて死んでしまう」

 本当に難儀な生き物だ。縛るものが多すぎる。
 レーヴはデュークがそんな目に遭う必要があるのだろうか、と自問した。

 彼女に恋をしなければ、彼は今も魔の森で穏やかに過ごしていたかもしれない。そして、レーヴが生きる年月よりも長い年月を生きていく。

「デュークには長生きしてもらいたいなぁ」

 心から、思う。デュークが消滅するのは嫌だ、と。