「出来損ないの軍人って、まさか君のことじゃないよね?」

 デュークの声に、レーヴは慌てて泣き濡れた顔を手のひらで覆い隠した。
 情けなさすぎて消えてしまいたいくらいなのに、デュークに見られたらどうにかなってしまいそうだ。

 息を潜めるレーヴが横たわるベッドのそばへやって来たデュークは、サイドチェストにカップを置き、再びキッチンへ何かを取りに行って、戻ってきた。

 どうやら、脚立を持ってきたようだ。デュークは初めて顔を合わせた時にレーヴがしていたように、脚立へ腰掛けてお茶を飲んだ。
 彼の口からフゥ、と安堵したような息が漏れる。

「君が無事で良かった」

「良くないわ」

「そんなわけがないだろう。もしも君が死んでしまったら、僕は寂しくて死んでしまう」