「ちょっとだけ一人にするけれど……本当に大丈夫?」

 デュークはそう言って、何度も確認してきた。
 レーヴも彼が心配しているのがわかるから、まだ元気のでない声で「大丈夫」と繰り返す。

 隣室へ消えていった彼の背中を見送り、レーヴは寝室のベッドへ横になった。
 開きっぱなしの扉の向こうから、お茶の用意をする音がする。

「誰かの気配があることが、こんなにも安心するなんて……」

 訓練学校卒業と同時に寮から出て、王都へ引っ越してきたからだいぶ経つ。その間、レーヴはずっと一人暮らしだった。

 田舎町出身の彼女に王都での知り合いはそう多くなく、来客はほぼゼロ。
 けれど、寂しいと思うことはあまりなかった。

「なのに……」