レーヴの無事にホッとした表情を浮かべるジョージを、デュークは殺意を込めた目で一瞥する。ジョージは一瞬悔しそうな顔をして、しかし耐えるように拳を握って俯いた。

　デュークはレーヴを抱いてゆっくりと立ち上がった。
　遅れて震え始めた彼女を慰めるように、頭のてっぺんへキスを落とす。

「ジョシュアさん！　レーヴはこのまま家へ送り届けます。ジョージくんのことは、任せましたよ」

　デュークはそれだけ言うと、くるりと踵を返して歩き出した。
　立ち去る二人の背後で、ギャラリーの罵声とジョシュアの怒号が響く。

　そんな中、美女が一人、痛ましげな顔をしてジョージの名前を呼んでいたが、誰の耳にも届くことはなかった。