「行かせるか!」

 ジョージの手から、小型ナイフが投擲される。
 怒りに任せた一投は、デュークの横を通り過ぎ、レーヴへ迫った。

 迫るナイフを見て、レーヴはまるで流れ星みたいだな、と思った。
 試合中に力みすぎたせいで、指一本動かすことも難しい。

「レーヴ、避けろ!」

 視界の端で、ジョージが悲壮な顔をして手を伸ばしているのが見える。
 レーヴはそんなことを言われても困るなぁと思った。

(ナイフでけがをするのは何年ぶりかしら)

 諦めにも似たことを考えていたら、足元でシュルシュルと蛇が這うような音がした。