乾いた土が、二人の足元で土埃となって舞い上がる。
 耳障りな金属音とともに剣を交えた二人は、同時に飛び退いて距離を取った。

(ああ、次で決まる)

 目にもとまらぬ速さで突進したデュークの剣が、ジョージの剣を弾く。
 弾かれた剣はくるくると宙を舞い、お芝居のワンシーンのようにドラマチックに地面へ突き刺さった。

 あっという間の出来事だった。ギャラリーも、そしてレーヴも、圧倒されて声も出ない。

 厩舎の馬たちが、デュークの勝利を祝うように、一斉に嘶く。
 それでようやく現実に戻ってきた観衆が、ワァァと声をあげた。

「負け、た?」

 呆然と、ジョージはつぶやいた。
 空っぽの手を見つめ、「ありえない」と吐き捨てる。
 デュークがレーヴのもとへ向かおうとしていることに気づいたら、頭の中が真っ赤になった。