この場にいる誰もが、やじを飛ばすことも忘れ、奇妙なほど静かに彼らを見ている。剣を交える二人の一挙手一投足に注目し、一つも見逃さないように瞬きさえ忘れて。

 デュークは馬らしく軽快なステップで立ち回りながら、ジョージの攻撃をいなしていた。攻撃は最小限で、どちらかといえば防御がメイン。
 対するジョージは、レーヴが見慣れない剣技でデュークに攻め込んでいた。どこか優美さが漂うところを見るに、もしかしたら王族が教わるという特別な技なのかもしれない。

 レーヴは熱っぽい目で二人の試合を見ていた。
 呼吸することも憚られるような緊迫した空気が、訓練場を満たしている。

 見つかれば即座に命を狩られる。一声でも発すれば、その矛先は自分へ向けられるのではないか、という恐怖を感じた。

 知らず、レーヴは力む。

 こんなにも露骨な殺気を感じるのは、訓練学校以来である。気を抜けばへたり込みそうになる足を叱咤して、レーヴはギリギリと拳を握り締めた。