轟音は、郵便局の裏手にある馬の訓練場から聞こえてくる。

 アーニャは「若いっていいわねぇ」とのんきに呟きながら、消印を押し終えた手紙をまとめ始めた。

 彼女が動かないということは、仕事に支障をきたすようなことではないのだろう。
 それでも、嫌な予感しかしなかったレーヴは、慌てて外へ走った。

 レーヴの予想通り、訓練場で問題は起きていた。

 土煙の中、目を凝らせば、三人のシルエットが見える。一人は地べたへ座り込み、もう一人はそれに手を差し伸べ、あとの一人は少し離れたところに立っている。

 三人目の人物は土煙の合間からレーヴを見つけると、キラキラした視線で彼女を見ながら手を振った。