「愛しいレーヴ。誘っているの?」

「誘って、ないぃ……」

 涙目で困ったように見つめてくるレーヴが、かわいくて仕方がない。

「デュークの、ばかぁ……」

「それでも僕は、君のことが愛しくてたまらないんだ」

 形ばかりの抵抗をしていたレーヴの手が、パタリと落ちる。
 ようやく受け入れてくれたのかな、とデュークはうれしそうな顔をして彼女を見た。

「……」

 デュークの腕の中で、レーヴは意識を失っていた。
 どうやら、デュークはやりすぎてしまったらしい。
 かくりと傾ぐ彼女を自身の胸にもたれかけさせ、デュークはハァァとそれは深いため息を吐いた。

「やってしまった」

 レーヴがこういった経験に不慣れなことは知っていたはずなのに。
 目の前にあったおいしそうな彼女に、つい理性を失った。

「つい、で済まされないだろう」

 自己嫌悪に沈み込みそうになりながら、デュークはもう一度深いため息を吐いた。

 いわゆる青年期に入った彼だが、まだまだなりたてなのである。人族でいえば思春期というやつで、性に対して興味津々のお年頃。見た目は大人だが、心はまだまだ大人とは言い難い。

 ようやく冷えてきた頭で、申し訳なさと満足感と、愛しさと残念さと、さまざまな思いを抱きつつ、デュークは「ごめんね」とレーヴの髪を撫で梳き、頭のてっぺんへキスを落とした。