受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される

 馬が鼻面を押し付けるように、デュークはレーヴに頬擦りをする。
 レーヴはクスクスと笑いながら「仕方がないなぁ」と頭を撫でてくれた。

 ささやかなやりとりが、デュークの心にあたたかな火を点す。

 デュークは幸せだと思った。

 馬のままだったら、彼女を腕に閉じ込めることもできなかった。
 レーヴを膝に乗せ、抱きしめられる。それだけで、獣人になった甲斐があるとしみじみ思う。

「また会えて嬉しいよ」

 レーヴがギュッと首に抱きつく。
 子どもみたいな無邪気な抱擁に、デュークは物足りなさを感じた。
 彼女にもっと触れたくて、指がうずく。

 デュークは獣人で、人族でいうと青年期である。
 好きな女性に積極的に抱きつかれて、おとなしくしていられるような男ではなかった。