潤んだ黒い目が睨むように見つめてきて、レーヴは身じろぎした。
 まろやかなお尻がわずかに動くのを見て、デュークの喉がゴクリと鳴る。

 デュークはしょせん、獣だ。獣だから、理性があるといっても人族のそれより緩い。
 だから、こうなってしまうのは仕方のないことだと言えた。

「レーヴ、ちょっと僕に乗ってくれる?」

「……え?」

 たっぷりと間を取ってから、レーヴは唇の端をひくつかせた。

 視線にわずかばかり不信感がにじんだような気がしたが、そんなことで傷つくデュークではない。彼女を愛し、自信をつけさせるのだという使命感と、緩み切った理性を原動力に、彼は動く。

「おいで、レーヴ」

 ことさら優しげな声で、デュークは名前を呼んでくる。
 胡散臭いくらいやわらかい笑みを浮かべ、エスコートするように差し伸べられた手を、レーヴは凝視した。