魔獣は、二種類存在する。理性のある魔獣と、理性のない魔獣である。
 理性のある魔獣のほとんどは、人族が魔獣を忌み嫌っていることを理解している。それは、彼らが狩られていたことで明らかだったからだ。

 人族に、魔獣の理性の有無は見分けがつかない。
 理性のない魔獣が人を襲うたび、人は魔獣を恨み、そして討伐した。

「それでも僕らは人に恋をすることをやめなかった。なぜなら、それが本能だから」

「本能?」

「ああ。理性のある魔獣が人に恋をするのは、獣人になるための本能なんだ。年齢という概念がない僕らは、獣人になることで青年とみなされ、人になることで大人だと認められる」

 デュークの説明に、レーヴは「うそでしょう?」とつぶやく。
 魔獣を研究しているマリーですら知らないことだ。彼女の反応は当然だ、とデュークは思った。