デュークはどんどん走る速度を加速させていく。
レーヴの速度に合わせる必要がなくなった分、遠慮なく走っているらしい。
さすが人外と言うべきか、レーヴの重さなんて微塵も感じていないような軽やかな足取りで、彼は走る。
(おお〜! さすが、馬。安定感があるなぁ)
「って! そんなことを思っている場合じゃない! ねぇデューク! どうしてこんなことになっているの?」
「なんでって。レーヴがそこにいたら、一緒にいたいと思うでしょう?」
「答えになってない!」
走っている間も、魔獣保護団体本部から緊急事態を告げる鐘の音が鳴り響き続けている。高い塀の向こうからは、怒号のような声も聞こえてきた。
「獣人が脱走したぞー!」
「塀を飛び越えて行った! 追うんだー!」
明らかにデュークを探していると思われる声を聞いて、レーヴは青ざめた。
(この獣人は一体、何をやらかしているの⁉︎)
レーヴが咎めるように彼の名前を呼んでも、デュークは無言で走り続ける。
抱きかかえられたままのレーヴにそれ以上何かができることはなく、身を任せるしかなかった。
(魔獣保護団体本部に来るのは二度目だけれど……ここに来ると毎回何か起こるわね)
一度目はデュークを押し付けられ、今日は二度目の訪問になるはずだった。あいにく、訪問する前にお尋ね者になっているわけだが。
遠くの見張り台にウォーレンらしき男を見つけ、レーヴは「大丈夫ですから〜」と力なく呟きながら手を振った。
レーヴの速度に合わせる必要がなくなった分、遠慮なく走っているらしい。
さすが人外と言うべきか、レーヴの重さなんて微塵も感じていないような軽やかな足取りで、彼は走る。
(おお〜! さすが、馬。安定感があるなぁ)
「って! そんなことを思っている場合じゃない! ねぇデューク! どうしてこんなことになっているの?」
「なんでって。レーヴがそこにいたら、一緒にいたいと思うでしょう?」
「答えになってない!」
走っている間も、魔獣保護団体本部から緊急事態を告げる鐘の音が鳴り響き続けている。高い塀の向こうからは、怒号のような声も聞こえてきた。
「獣人が脱走したぞー!」
「塀を飛び越えて行った! 追うんだー!」
明らかにデュークを探していると思われる声を聞いて、レーヴは青ざめた。
(この獣人は一体、何をやらかしているの⁉︎)
レーヴが咎めるように彼の名前を呼んでも、デュークは無言で走り続ける。
抱きかかえられたままのレーヴにそれ以上何かができることはなく、身を任せるしかなかった。
(魔獣保護団体本部に来るのは二度目だけれど……ここに来ると毎回何か起こるわね)
一度目はデュークを押し付けられ、今日は二度目の訪問になるはずだった。あいにく、訪問する前にお尋ね者になっているわけだが。
遠くの見張り台にウォーレンらしき男を見つけ、レーヴは「大丈夫ですから〜」と力なく呟きながら手を振った。



