「獣人は、恋が成就しないと消滅するのだそうです。逆に、恋が成就した場合は人の姿に変化すると聞きました。魔獣保護団体は国から獣人の保護とその恋の応援を依頼されているらしく、彼に恋された私に責任を取れと言ってきたわけです」

「なんじゃ、それは。男たるもの、そんなもんじゃいかん! わしが鍛え直してやる! 今すぐ連れて来い!」

 今にも立ち上がりそうになっているジョシュアをアーニャとレーヴは二人がかりで押し留める。フーフーと頭から湯気でも出そうなくらい怒っているジョシュアに、レーヴは叫んだ。

「ですから! これは国からの命令なんです!」

 レーヴはアーニャにジョシュアを任せると、つかつかと自身のデスクへ行き、一枚の書状を持って戻った。

「これが、証拠です」

「む?」

 突き出された書状を、ジョシュアは見た。彼の鋭い目が、見間違いか? とでも言うように何度も瞬きする。