王都郊外にある草原を、一頭の雄々しい青毛の馬が駆け抜ける。

「ああもう! どうしてこんなことになっているのかな⁉︎」

 馬上で少女が苛立たしげに舌打ちする。
 だが、そんなことをしたところで何も変わらない。
 これから始まる国を挙げての一大行事、軍事パレードに遅刻だなんて、どんなお咎めを受けることになるのか。
 考えるだけで、胃がキリキリしそうだ。

「どうか、どうか、間に合ってぇぇぇぇ!」

 不安と緊張でグチャグチャになった気持ちを表すかのように、少女は叫ぶ。
 軍事パレードまで、残り十五分。パレードの列は、まだ見えない。